先日SNSで書き込んでましたが、イチゴのオフシーズンということで普段は書かないこと、思い、営業に関すること以外のお知らせなどを綴っていきたいと思います。
今シーズンは収量こそ残念な結果でしたが、それ以外では良いこともたくさんありました。新しいお取引先が増えたこと。配送対応が始まったことでお客さまの幅が広がったことなどです。そして品質についてもまずまず納得のいくものができました。
実はこの冬に徳島で開かれたオーガニックエコフェスタ内の栄養価コンテストに、昨年に続いて今年も参加いたしました。このコンテストは全国の猛者たちの自慢の生産物が分析にかけられ、美味しさや栄養価を数値という目に見える形で評価・表彰されるという、非常にシビアなコンテストです。かんたまさんは昨年初めて出品し、ノミネートという一定の評価は受けたものの全国にはまだまだすごい農家がたくさんいるのだなと、再認識させられるという結果に終わりました。
他の農家同様、かんたまさんも順位のためにイチゴ作りをしているわけではありませんが、こうした客観的な評価を受けることは独りよがりな栽培に陥りがちな個人農家にとって自分の立ち位置を再確認させてもらえるので、今年も恥ずかしながら参加いたしました。
結果はというと、昨年同様、大変残念なものでした。
上の画像が今年の結果、下の画像が昨年の結果です。
見方の簡単な説明ですが、グラフは「硝酸イオン」が少なくそれ以外は多い方が良いので、左側が限りなく0に近い「三角形に近い四角形」が理想とされます。
あとは食味など数値はもちろん高い方が良いですし、総評などで細かく説明をされているのでそれを読んでいただければだいたいの作物の様子がうかがえます。
最優秀賞の発表があるコンテスト当日の前に分析結果は帰ってくるのですが、数字だけ見るとかなり小躍りするものでした。すべての数字が昨年を上回っていました。糖度は品種差もあるし、出した時期にもよるので食べて美味しいと感じる間はあまり気にしないのですが、栄養価については偶然数字が良かったということはあまりなくて、基本の積み重ねの結果であるので、ここが良いととてもテンションが上がります。
特に硝酸イオン(エグみの原因となるもの。低ければ低いほど良いとされる)の値が初めて限りなく0に近い数字になりました。初めてこの硝酸イオンというものを知ったのが四年前、その時はどんなに頑張っても200を切るのが精一杯でした。ようやく昨年初めて29。そして今回。少しずつ良いものが作れているという実感が得られました。
もう一つ、昨年は食味が5段階の4だったのが、今年はついに最高の5という評価をいただくことができました。どんなに栄養価が高くとも、やはりイチゴは美味しさが一番大切だと思っています。美味しいからこそ笑顔で食べてもらえる。かんたまさんのお客さまは栄養価についてとやかく考えてもらう必要はないのです。それは作る僕らが考えること。知らない間に健康なイチゴを食べていた。それでいいのです。
この食味5という評価は毎年そんなにたくさんの農家がもらえるわけではないので、本当に本当に嬉しかったです。
過去の最優秀賞と比べても決して引けを取らない結果に、「これはもしかして...」と淡い期待を抱いておりましたが、なんてことない、結果はまたもノミネート止まり。
上には上がおられます。
詳しい結果はJOFA(日本有機農業普及協会)のホームページでご確認ください。ビタミンCや抗酸化力などの説明もあります。一般的にイチゴってビタミンCが多いとか言われます。直売所やスーパーのPOPに書いてあったりしますが、正確には「ビタミンCが多いイチゴもある」なんですよね。
それでも皆さんに食べてもらってる「かんたまさんのさちのか」は健闘しました。
かんたまさんは三人のチームです。スリーピースバンドです。ハヤシヨウスケという個人名での登録でしたが、これは紛れもなく三人の努力の結果を評価していただけたのであり、三人のまだまだ足りないところを戒められたのだと思っています。そして懲りずにいつも購入してくださる皆さまのおかげです。ありがとうございます。
長くなりますが、もう少しお伝えしたいことがあります。
この数値や結果はとても大切なものですが、場合によってはあまり参考にならないとも言えます。当たり前のことですが、この数値は分析にかけるために研究所に送った500gのイチゴの数値であり、このシーズンに皆さまにお渡ししたイチゴの最低保証となる数値ではありません。特に日々の天候や畑の様子を見ながら水分量や肥料などを決めていく栽培では、高い品質をワンシーズン安定して保つことはとても困難です。今のかんたまさんの実力では「やっぱり美味しいイチゴだった!」という評価と「あれ、そうでもないな」という評価が必ず混在します。美味しいと信じて買いに来てくださったお客さまの期待に応えられない日があるかもしれない。これは決して安くはないイチゴを購入してもらう上で、生産者にとってとても胃が痛いところです。もちろん逆にこの結果よりもさらにすごいイチゴをお渡しできたことも何度かはあったと思います。
だからこの分析結果が持つ最大の意味は、「こういったことについて意識を高く持つ農家なのね」ということなのです。味の保証ではなく、あくまでも「姿勢」の参考ということになります。
来年も力試しでコンテストに参加する予定ですが、その結果がどうであれ、かんたまさんがいろんなことを意識しながら日々イチゴのお世話をしているタイプの農家だと思っていただければ幸いです。それで満足でございます。
とはいえ、やっぱり悔しいですねぇ。うん。
来シーズンはもっと美味しいイチゴを。